目前分類:每日 (39)
- Sep 11 Thu 2008 20:23
今週の本棚:沼野充義・評 『カラマーゾフの兄弟…』=ドストエフスキー著
- Sep 04 Thu 2008 20:21
今週の本棚:若島正・評 『「赤」の誘惑--フィクション論序説』=蓮實重彦・著
(新潮社・2520円)
◇不意打ちする「傷口」として
この三十年ほど、西欧を中心にして、フィクション論の研究が活況を呈している。そこでは、フィクションとは何か、フィクションの存在様態はどのようなものか、といった問いが、文学理論のみならず分析哲学や可能世界論の枠組みで論じられる。しかし、そうした理論的著作を一度でも読んでみたことがある者なら、そこではフィクションがフィクションとして扱われていないという不満を感じずにはいられないはずだ。
- Aug 28 Thu 2008 20:19
今週の本棚:辻原登・評 『悪人』=吉田修一・著
- Aug 21 Thu 2008 20:18
今週の本棚:若島正・評 『聖母の贈り物』=ウィリアム・トレヴァー著
(国書刊行会・2520円)
◇愚かな人間の姿を冷静に描く
アイルランド生まれの作家ウィリアム・トレヴァーの名前は、日本ではそれほど知られているわけではない。しかし、創作歴ほぼ五十年の長きにわたって多数の長篇や短篇をコンスタントに書きつづけ、驚くほどの高水準を維持しているこの作家を知らないとしたら、それは不幸なことだ。今回独自に編まれた短篇選集である『聖母の贈り物』は、トレヴァーの本格的な紹介として近年の快事である。ぜひこの機会にトレヴァーの短篇を賞味してほしい。トレヴァーこそは現役作家の中で世界最高の短篇作家だというのが、評者の長年の確信なのだから。
- Aug 13 Wed 2008 20:16
今週の本棚:渡辺保・評 『ラシーヌ論』=ロラン・バルト著
(みすず書房・5670円)
◇明快な構造分析、あざやかな劇評
かつての芝居好きならだれでも一度はラシーヌにはまった(むろん今日の芝居好きはそうではないかもしれない)。ラシーヌが芝居の魅力の核心をもっているから。ラシーヌを読み、あるいは見た人間は直感的にそれを感じる。感じるけれどもその正体はわからない。
- Aug 05 Tue 2008 20:13
今週の本棚:川本三郎・評 『八日目の蝉』=角田光代・著
- Jul 29 Tue 2008 20:10
今週の本棚:池内紀・評 『日本語は天才である』=柳瀬尚紀・著
- Jul 22 Tue 2008 20:10
今週の本棚:若島正・評 『評書評家<狐>の読書遺産』=山村修・著
(文春新書・777円)
◇共感のさざなみ、かきたてられて
もしもわたしが一冊の本だったら--というのは変な想像かもしれないが、『書評家<狐>の読書遺産』を読んでいると、ついそう思ってしまう。もしもわたしが一冊の本だったら、他の誰でもない、<狐>に読んでもらいたい。そしてできることなら、書評を書いてもらいたい。書評家<狐>こと山村修は、そう思わせるほど希有な読み手であり書き手だった。
- Jul 15 Tue 2008 20:08
今週の本棚:丸谷才一・評 『運命論者ジャックとその主人』=ドニ・ディドロ著
(白水社・3570円)
◇クンデラ絶賛のフランス18世紀小説
一九六八年、いわゆるプラハの春を抑圧するため、ロシアがチェコを占領した。クンデラはチェコ共産党から二度目の除名を受け、大学助教授の職を失い、著作活動を禁止された。援助の手がさしのべられたなかに、ある演出家からの、彼の名でドストエフスキー『白痴』の脚色をしないかという申し出があった。クンデラは『白痴』を読み返し、断り、代案としてフランス十八世紀の作家(というよりむしろ思想家として名高い)ディドロの長篇小説『運命論者ジャックとその主人』をあげた。
- Jul 08 Tue 2008 20:06
今週の本棚:若島正・評 『美術愛好家の陳列室』=ジョルジュ・ペレック著
(水声社・1575円)
◇「ありそうで実はない絵画」を楽しむ
フランスの実験文学集団「ウリポ」の一員として知られるジョルジュ・ペレックが、代表作となる大作『人生 使用法』(一九七八年)を完成させた後に、次に書いたのがこの中篇『美術愛好家の陳列室』(一九七九年)である。
- Jun 29 Sun 2008 20:04
今週の本棚:三浦雅士・評 『カーライルの家』=安岡章太郎・著
(講談社・2625円)
◇手切れ金はタンバリンだった
小林秀雄をめぐる短篇「危うい記憶」が素晴らしい。随筆的作品と言ってもいいが、はるか昔の記憶にもかかわらずきわめて的確な事物の描写と、読者を小林秀雄の心情へとすっと入り込ませるその手際はあくまでも小説家のそれであって、やはり短篇小説と言いたくなる。
- Jun 22 Sun 2008 16:53
今週の本棚:三浦雅士・評 『海』=小川洋子・著
(新潮社・1365円)
◇漢字仮名まじり文のエロス
小川洋子の小説にはどこか無国籍なところがある。批判しているわけではまったくない。ときには無国籍性どころか無歴史性をさえ感じさせるのであって、それが素晴らしい魅力になっているのである。あるいは地球市民性と言ってもいい。宮崎駿のアニメと同じだ。国語、国籍へのこだわりは近代になって生じたにすぎない。いまや全世界が無国籍化しているのである。とすれば、小川洋子は、近代以後、それこそポスト産業社会の申し子ということになるだろう。村上春樹と並んで世界に受容されはじめている理由だ。
- Jun 15 Sun 2008 16:50
今週の本棚:若島正・評 『10ドルだって大金だ』=ジャック・リッチー著
- Jun 08 Sun 2008 16:49
今週の本棚:若島正・評 『テヘランでロリータを読む』=アーザル・ナフィーシー著
(白水社・2310円)
◇文学体験を切実に問う感動の書
『テヘランでロリータを読む』。挑発的なタイトルだ。ホメイニー師が指揮するイラン革命によって、イスラム原理主義に支配されたテヘランで、背徳的な小説として知られるナボコフの『ロリータ』を読むことがどういう意味を持つのか。そう本書は問いかける。
- Jun 01 Sun 2008 16:46
今週の本棚:三浦雅士・評 『八月の路上に捨てる』=伊藤たかみ・著
- May 25 Sun 2008 16:46
今週の本棚:丸谷才一・評 『シェイクスピア…』=スティーヴン・グリーンブラット著
- May 18 Sun 2008 16:44
今週の本棚:三浦雅士・評 『どこにもない国 現代アメリカ…』=柴田元幸・編訳
- May 11 Sun 2008 16:39
今週の本棚:富山太佳夫・評 『尖塔-ザ・スパイア』=ウィリアム・ゴールディング著
- May 04 Sun 2008 16:36
今週の本棚:山崎正和・評 『感覚の幽い風景』=鷲田清一・著