◇『二十世紀フランス小説』=ドミニク・ラバテ著

 (白水社・文庫クセジュ・1103円)

◇『ヨーロッパは書く』=ウルズラ・ケラー、イルマ・ラクーザ編

 (鳥影社・3045円)

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◇『ルイ十六世 上・下』

 (中央公論新社・各3990円)

 ◇知られざる「最も優れた敗者」の素顔

 三年前、パリ行きの飛行機で『パリ・マッチ』を開いたら、与党と野党の大物政治家がともに「ヴァカンス中に読んで面白かった本」の筆頭に本書を挙げていた。

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◇『フロイトのイタリア--旅・芸術・精神分析』

 (平凡社・3990円)

 ◇精神分析は「永遠の都」のせいで生れた

 フロイトはイタリアが大好きで、生涯に二十数回もこの国へ旅行した。彼の思想および精神分析理論の形成には、このイタリア好きが大きくかかわっている。一八九七年、旅に出る直前に友達に出した手紙にこうある。

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◇『ビューティー・サロンの社会学--ジェンダー・文化・快楽』

 (新曜社・2940円)

 ◇美容ビジネスの遺産が作家を支えた

 最初にことわっておくべきかもしれないが、エステとかビューティー・サロンなるものに対する関心は、私の場合、ゼロである。皆無、絶無、からっきし無い。「世間は、『ただ爪(つめ)にマニキュア塗ったり、マッサージしたり……ただそれだけの仕事』と見てるのよね。男性はちょっと風俗っぽいと思うようだし」というセラピストの声が本文中に引用されているが、私などは間違いなくそのような「世間」のひとりということになるのだろう。まあ、どうでもいいけれども。但(ただ)し、私の場合、そんな材料であっても、本になれば別。本になれば読むし、書評する。

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(ホーム社/集英社・2730円)

◇とどめおけないものを、とどめた小説

 

 厚ぼったい本である。やさしく繊細な小説であり、きわめて美しい小説でもある。完成されていると私は思う。美しく歪(ゆが)んだまま完成されている、と。『夜はやさし』というこの一冊の長編小説が、傑作である理由はたぶんそこにある。歪んだままというところ。なぜならそれは、人が、あるいは物語が持つ、天然の歪みだからだ。美しいに決まっている。本来、小説のなかには収まらないはずのものなのだ。

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