◇『カラマーゾフの兄弟 全4巻+エピローグ別巻』

 (光文社古典新訳文庫・660~1080円)

 ◇画期的新訳で名作が「現代文学」になった

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(新潮社・2520円)

 ◇不意打ちする「傷口」として

 この三十年ほど、西欧を中心にして、フィクション論の研究が活況を呈している。そこでは、フィクションとは何か、フィクションの存在様態はどのようなものか、といった問いが、文学理論のみならず分析哲学や可能世界論の枠組みで論じられる。しかし、そうした理論的著作を一度でも読んでみたことがある者なら、そこではフィクションがフィクションとして扱われていないという不満を感じずにはいられないはずだ。

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(朝日新聞社・1890円)

 ◇渦巻くように動き、重奏する響き

 すべての「小説」は「罪と罰」と名付けられうる。今、われわれは胸を張ってそう呼べる最良の小説のひとつを前にしている。

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(国書刊行会・2520円)

 ◇愚かな人間の姿を冷静に描く

 アイルランド生まれの作家ウィリアム・トレヴァーの名前は、日本ではそれほど知られているわけではない。しかし、創作歴ほぼ五十年の長きにわたって多数の長篇や短篇をコンスタントに書きつづけ、驚くほどの高水準を維持しているこの作家を知らないとしたら、それは不幸なことだ。今回独自に編まれた短篇選集である『聖母の贈り物』は、トレヴァーの本格的な紹介として近年の快事である。ぜひこの機会にトレヴァーの短篇を賞味してほしい。トレヴァーこそは現役作家の中で世界最高の短篇作家だというのが、評者の長年の確信なのだから。

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(みすず書房・5670円)

 ◇明快な構造分析、あざやかな劇評

 かつての芝居好きならだれでも一度はラシーヌにはまった(むろん今日の芝居好きはそうではないかもしれない)。ラシーヌが芝居の魅力の核心をもっているから。ラシーヌを読み、あるいは見た人間は直感的にそれを感じる。感じるけれどもその正体はわからない。

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